省エネ住宅(ZEH)の盲点

2020.01.20

 伝統的な昔の日本建築は、高温多湿の夏場における風通しのよい建築でした。
また、縁側や軒先を深くすることで夏の日射を軽減し、過ごしやすいパッシブな温熱環境でした。
これは、高温多湿の日本において、冷房などない時代において暑さを乗り切るための工夫といえます。

 逆に冬場は気密性の低い家のために、南側に大開口を設け、冬の日差しを取込むとともに、こたつなどの局所的な暖炉を設けることで冬場の寒さを乗り切っていました。

       資料①


 現在は、世界的な流れで低炭素社会の動きがあり住宅においては省エネ化への動きが加速しています。また、建築物省エネ法が改正され、令和3年4月からは、一戸建て住宅において建築士による「省エネ性能に係わる義務制度」により、建築される建物の省エネ性能が明確化されてきます。 時代のニーズにこたえるべく、高気密高断熱を売りにした住宅が多くなりました。その高気密高断熱のお陰で、年中快適な生活ができるようになりました。しかし、高気密高断熱の設計・施工は簡単なものではありません。正しい断熱の設計や施工を行わないと、内部結露による構造木材が腐ってしまうというリスクも考えられます。 木造住宅の構造で耐震等級2や3など話題になったりしますが、壁内などで内部結露をしてしまうと経年的に木材が腐朽して強度を失い安全性に問題が生じます。

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       資料②


<“木が腐る”とは?>
“木が腐る”という現象は、菌が木材に住み着いて、木材の成分を分解することです。木材腐朽菌の繁殖条件はいくつかあります。
1.水分(湿度)
2.温度(適温)
3.酸素
4.栄養(木材)
木材腐朽菌は怖いイメージがありますが、皆さんの食卓に並ぶエノキ・シイタケ・ブナシメジなどのキノコ類も木材腐朽菌です。 先ほどの1~4のうち1つでも除くことができれば、腐朽菌の生育を止めることができます。 住宅では、主に1について対策を講ずることになります。 木造住宅では、乾燥木材を使用し、気密層・通気層の工夫により壁内の結露を防ぐことで、大切な柱や土台などの腐朽を防ぐことができます。

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<結露とは?>
空気中に含むことのできる水分量が、気温によって変わります。低気温では空気中に含むことのできる水分量が、高気温より少ないです。 高温多湿の夏場のビアガーデンをイメージすると分かりやすいです。よく冷えたビールをガラスのジョッキに注ぎます。すると、ガラスのジョッキ表面に水滴が生じます。これは、ガラスの表面付近の気温が、ビールの温度によって冷やされて、周囲の気温より著しく低下することで生じます。これが“結露”です。 住宅の壁内等においても、不適切な断熱設計や施工が行われていないときに壁内等において結露が生じる場合があるのです。 建物の強さを長期間において維持発揮するためには、結露などによる構造部材の劣化をさせない設計・施工がされていることが大切です。

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  生活のしやすさ・温熱環境を追求する意匠設計、建物の安全性を追求する構造設計、設計通りの性能が担保される施工、住まわれてからのメンテナンス、全てが満足されてこそ、長期間安全で快適な家に住み続けられます。
私たちは、その木造住宅の構造設計の部門を担当しております。皆様のお家の安心安全のお手伝いができれば幸いです。

担当:高須賀 範昌

引用元
資料①:国土交通省HP https://www.mlit.go.jp
資料②:発行者:一般社団法人住宅一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会
    発行書:既存住宅状況調査技術者講習テキスト(P.105より)