梁成300以上は、羽子板ボルト2本引き

2020.05.25

構造設計部の宮岡です。
今回は、羽子板ボルトについてお話しいたします。

羽子板ボルト

 羽子板ボルトといえば、在来木造軸組工法ではかなり昔から使用されているようです。昭和25年の建築基準法制定頃から使われ始め、昭和56年の新耐震施行以後、他の金物と同様に急速に多く使われるようになりました。 この羽子板ボルトですが、通常は梁の継手や仕口に片側1本で引くことになっています。しかし、梁成が300以上になると2本で引くのが基本だということを御存じでしょうか。



梁成が300以上なら2本で引くのが基本 その理由は?>

 
 まず初めに、梁成の高さにかかわらず、羽子板ボルトを梁部材の側面に配置した時点で部材軸から偏心しています。よって、部材が引っ張られるとねじれる事になります。 この影響で、ボルトの正味の耐力が1/2になるということが、昔から言われていたようです。 これは昭和55年頃の実験(文献1)や最近の実験(文献2)でも明らかにされています。

 
 これに加えて、梁成が高くなると縦方向にもねじれて、ますます耐力が減少することは明白です。よって、梁成が高くなれば上下に2本で引くという決まりごとができたわけです。 そして、その梁成を300としたのでしょう。他に、引き方として部材中央の両側に設置することも許容されています。当然、耐力は一般の片側1本引きと同等として計算されます。

 
 最近では偏心のない金物工法が普及してきていますが、部材心にない金物は大なり小なり問題を含んでいることを、構造設計者は知っていることが重要だと思います。


文献1)後藤一雄、「羽子板ボルト接合耐力の実験報告」、日本建築学会、昭和55年9月
文献2)丸山純夫他、「木造軸組真壁構造に用いる部材内蔵型金物の開発と力学特性」、日本建築学会、2016年2月